この記事は、ドラマ『ブラッサム』に登場する金額を、今の価値に換算するシリーズです。
主人公・葉野珠(はの たま)のモデルは、山口県岩国出身の作家・宇野千代(1897〜1996)。夫の保(モデルは藤村忠)とともに札幌へ移り住んだ珠は、頼母子講(たのもしこう)で1000円という大金を手にしました。
この記事では、その1000円が今のいくらにあたるのかを、3つのものさしで換算します。
頼母子講で当たった1000円は今いくら?
結論:1000円は、今のおよそ60万円〜1,470万円です。
| ものさし | 1000円 ≒ 今の | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 企業物価指数(大正8年) | 約60万円 | モノの値段で比べる |
| 米価(白米10kg・東京) | 約140万〜460万円 | お米の値段で比べる |
| 給料(巡査の月給) | 約490万〜1,470万円 | もらう側の感覚で比べる |
「1000円」と聞くと「今の1000円?」と思ってしまいますが、給料の感覚でみると今の1000万円前後。当時、巡査の月給は20円(大正8年)でしたから、1000円は巡査の月給の約50か月分=4年以上にあたります。モノの値段でみると約60万円で、ものさしによって20倍以上の開きが出ます。
宇野千代は、このお金で札幌に中古住宅を買ったとされています。ドラマの「大金が転がり込んだ」という描き方は、誇張ではなかったのです。
そもそも「頼母子講(無尽)」とは?
頼母子講(無尽)は、江戸時代から続く庶民の相互金融です。
- 仲間(講)が集まり、定期的に掛け金を出し合う。
- くじ引きや入札で、その回のお金を受け取る人を決める。
- 全員が一巡するまで続ける。
銀行が身近でなかった時代の、「みんなでお金を出し合って、順番にまとまったお金を受け取る」仕組みです。今でいえば、無尽会社=のちの互助会や消費者金融のルーツにあたります。
宇野千代は、なぜ頼母子講に入ったのか
史実の宇野千代も、札幌時代に頼母子講に加入していました。
- 夫の忠(藤村忠)が北海道拓殖銀行に就職したのを機に、大正9年(1920)、札幌へ移住。
- 千代は和裁の仕立てを請け負ってお金を稼ぎ、貯蓄のため頼母子講に精を出したと伝えられています。
- そして頼母子講で1000円に当選。当時の千円は大金で、そのお金で札幌に中古住宅を購入しました。
つまり、ドラマのエピソードは史実にもとづくものです。
大正8年は「米騒動の翌年」物価が高騰した年
同じ「1000円」でも、大正時代のいつかによって価値は変わります。大正8年(1919)は、前年の米騒動を受けて物価が大きく上がった年でした。
- 日本銀行の企業物価指数(昭和9〜11年平均=1)でみると、大正7年は1.246、大正8年は1.526、大正9年は1.678。戦争景気の頂点に向かって上がり続けています。
- 前年(大正7年)の米騒動で米の値段が急騰し、その翌年にあたります。
- つまり、大正3年(代用教員になった年)の1000円と、大正8年の1000円では、買えるものが違っていたということです。
計算のしかた(3つのものさし)
| ものさし | 大正の1円 ≒ 今の | 出典 |
|---|---|---|
| 企業物価指数 | 約540〜1,500円 | 日本銀行「戦前基準指数」 |
| 米価(白米10kg・東京) | 約1,400〜4,600円 | 戦後昭和史(原典:大蔵省調査) |
| 給料(巡査の月給) | 約4,900〜14,700円 | 新居浜市立図書館「値段史年表」 |
- 企業物価指数:
912.9 ÷ その年の指数で計算します。912.9は令和7年(2025年)の年平均値。大正8年の指数は1.526なので、912.9 ÷ 1.526 ≒ 598円。これに1000円をかけて約60万円になります。 - 米価:当時の米の値段と、今の米の値段を比べます。
- 給料:当時の巡査の月給と、今の巡査の初任給(東京都・226,000円)を比べます。大正8年の巡査月給は20円なので、
226,000 ÷ 20 = 11,300円。これに1000円をかけると約1,130万円です。
ものさしによって答えが変わるのは、日本銀行も国立国会図書館も「昔のお金を単純に換算することはできない」としているためです。くわしい考え方は、まとめ記事と動画で解説しています。
出典・参考Webサイト一覧
| サイト名 | 内容・確認目的 | 備考 |
|---|---|---|
| Wikipedia「宇野千代」 | 大正9年、忠の北海道拓殖銀行就職に伴い札幌へ転居/貯蓄のため仕立ての請負や頼母子講に精を出す | 二次資料 |
| アートるる「宇野千代と札幌 ― 作家への扉を開いた北の街」 | 頼母子講(無尽)で1000円に当選/当時の千円は大金/仕立ての稼ぎと中古住宅の購入 | 二次資料 |
| 宇野千代生家「宇野千代年譜」 | 大正8年 藤村忠と結婚/翌年、北海道拓殖銀行就職で札幌へ | 一次資料に近い |
| 宇野千代さん年譜 | 大正8年8月 結婚/前年 米騒動 | 二次資料 |
| コトバンク「頼母子講」 | 頼母子講の仕組み(掛け金・くじ・入札) | 一次資料(辞書) |
| 日本振金「無尽の歴史」 | 無尽・頼母子の由来と発展 | 二次資料 |
| NHK『ブラッサム』公式サイト | 作品概要・放送情報 | 一次資料 |
| スキドラ「ブラッサム」全話ネタバレまとめ | ドラマの流れ | 一次資料(自作) |
| 日本銀行「教えて!にちぎん」歴史 | 企業物価指数 戦前基準指数(大正7・8・9年、令和7年) | 一次資料 |
| 新居浜市立図書館「値段史年表」 | 巡査の月給(大正8年=20円) | 一次資料 |
| 戦後昭和史「米価の推移」 | 白米10kgの値段(原典:大蔵省調査) | 二次資料(原典明記) |
| 国立国会図書館 リサーチ・ナビ | 物価・賃金の調べ方 | 一次資料 |
| スキドラ「大正の1円は今いくら?」 | 3つのものさしの考え方(親記事) | 一次資料(自作) |
| YouTube動画「大正の1円は今いくら?」 | 換算の考え方 | 一次資料(自作) |
関連動画・記事
- 【大正の1円は今いくら?】 3つのものさしの考え方をまとめた親記事です。
- 【ブラッサム】全話ネタバレあらすじ史実まとめ 週ごとの史実比較です。
宇野千代のお金シリーズ



当サイトでは、話題の好きなドラマ情報をお届けします。
原作(小説・漫画・アニメ)のあらすじ・ネタバレ感想、ドラマのあらすじ・ネタバレ感想、原作との違い、原作書籍や配信先を紹介します。
推理小説好きなので、ミステリー要素がある作品が多くなるかも?気になる作品をピックアップしていきます。
他にもタイドラマのサイトを運営しているので、興味のある方は下記のサイトマークから覗いてみてください♡