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【あんぱん実話】伍長は偉い?やなせたかしの戦争体験と軍隊の階級制度、暗号班の任務も解説

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朝ドラ『あんぱん』第11週では、主人公・嵩が軍隊で「伍長(ごちょう)」に昇進し、中国の戦地へと出征する姿が描かれました。この展開は、モデルとなったやなせたかし本人の戦争体験をもとにした実話でもあります。

では「伍長」とはどのような階級で、実際にどんな役割を担っていたのでしょうか? また、やなせが配属された「暗号班」の任務とは何だったのか――。

本記事では、軍隊の階級制度ややなせたかしの戦争体験、暗号班での役割をわかりやすく解説しつつ、ドラマと実話の関係性を深掘りします。

きゅんはむ
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嵩とやなせたかし氏、ふたりの人生が重なる“戦中編”の背景とは?やなせ氏の戦争体験については、著書『ぼくは戦争は大きらい』に詳しく書かれています。

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伍長って偉いの?軍隊の階級制度をやさしく解説

朝ドラ『あんぱん』第11週では、嵩が「伍長」に昇進する場面が描かれました。「伍長ってどれくらい偉いの?」「軍隊の中ではどんな立場?」と疑問を抱いた方も多いのではないでしょうか。ここでは当時の軍隊制度をもとに、やさしく解説します。

旧日本陸軍の階級一覧と「伍長」の位置づけ

旧日本陸軍では、階級は大きく「兵」「下士官」「士官」に分かれていました。中でも「伍長」は、下士官の中で最も下の階級であり、上等兵や兵長の上位にあたります。

旧日本陸軍の階級は、大きく分けて「兵」「下士官」「士官」の3つに分類されていました。

  • 【兵】二等兵 → 一等兵 → 上等兵 → 兵長
  • 【下士官】伍長 → 軍曹 → 曹長
  • 【士官】(尉官)少尉 → 中尉 → 大尉 → (佐官)少佐 → 中佐 → 大佐 →(将官)少将 → 中将 → 大将

以下は、陸軍の代表的な階級の順番です。左がその階級の下位で、右に行くほど偉くなります。

  • 将官:大将・中将・少将
  • 佐官:大佐・中佐・少佐
  • 尉官:大尉・中尉・少尉
  • 准士官:准尉
  • 下士官:曹長・軍曹・伍長
  • 兵:兵長・上等兵・一等兵・二等兵
旧日本陸軍(第二次世界大戦当時)の階級一覧・ピラミッド図

伍長は、「兵」としての勤務を経て、選抜や試験により昇進する下士官であり、軍隊生活における一つのステータスでもありました。

きはむ
きはむ

兵長や上等兵より上なんだね~。班長って聞くとちょっと偉そうに聞こえる!実際に“下の子たち”をまとめる立場だったそう。

伍長の役割:「下士官」のリーダー的存在

軍隊における伍長は、単なる階級ではなく、実際の任務においても重要な役割を担っていました。とくに分隊という10~12名ほどの小規模部隊では、伍長が事実上のリーダーとして隊員をまとめます。

訓練の指導、生活面の管理、新兵の教育や指導も伍長の担当でした。内務班の生活指導では、掃除の仕方や衣類の畳み方、礼儀作法まで厳しく教え込む役割を果たしていたのです。

また、戦時になると、実戦部隊において「分隊長」として前線での指揮を執ることもあり、兵士たちにとっては非常に身近かつ重要な存在でした。

きゅんはむ
きゅんはむ

やなせ氏は入隊早々に“班長のお世話係”である当番兵を任され、入隊数か月で幹部候補生の試験を受けることにしたんだって。

きはむ
きはむ

二等兵を4か月くらいしていると上官から試験を受けるよう言われ、試験に受かり一等兵になると、殴られるのがマシになるのだとか。

やなせたかしもなった“乙種幹部候補生”とは?

やなせたかしも、実際に軍隊でこの「伍長」に昇進しています。ただし、その過程は少し特殊でした。彼は「幹部候補生試験」を受け、甲種ではなく乙種として合格しています。

幹部候補生には2種類あり、違いは以下の通りです:

種類進路内容
甲種将校コース士官学校を経て少尉からスタート。より難関で指揮官クラスを目指す
乙種下士官コース部隊での教育後に伍長→軍曹へ。比較的試験は簡単

やなせは本来「甲幹」に合格していたにも関わらず、試験前夜に居眠りをしたことが見つかり、「罰として乙種に降格」と告げられたというエピソードが残っています。

この降格により、やなせは伍長止まりの下士官コースに進むことになりました。結果的には戦地でも比較的安全なポジションにつくことができ、命を長らえる運命につながります。

きゅんはむ
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降格が逆にラッキーに!将校になってたら前線送りだったかも…と、やなせ氏が著書で回想していました。1

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【実話解説①】やなせたかしの戦争体験:嵩=やなせ本人のオマージュ

朝ドラ『あんぱん』で描かれる嵩の軍隊生活は、やなせたかし自身の体験が色濃く反映されています。理不尽な暴力、幹部候補生試験、暗号班での勤務――それらはフィクションではなく、やなせ自身が経験した“リアルな戦争”の記憶です。

軍隊で味わった理不尽と暴力|古参兵との関係

やなせたかしは著書『ぼくは戦争は大きらい』の中で、軍隊における暴力と理不尽を赤裸々に語っています。彼は「掃除の仕方が気に入らない」「ぞうきんがけをサボった」など、些細な理由で古参兵から殴られることが当たり前の世界だったと綴っています。

また、軍隊では読み書きができない兵士も多く、学がある者は“班長のお世話係”にされがちだったとも述懐。自分が気の利く人間と勘違いされ、雑務を押しつけられるつらさも感じていたようです。

きはむ
きはむ

理不尽に耐えるだけの日々って、ほんと想像を絶する…。何で殴られるのかも不明だとか、新参者は古参兵のサンドバッグ状態…!

幹部候補試験と“乙幹”降格エピソード

やなせたかしは、二等兵を数ヶ月経験した後、幹部候補生試験を受けることになりました。前夜に病馬厩(病気の馬を隔離する厩舎)で不寝番の見張りを命じられるも居眠りをしてしまい、見回りに発見されてしまいます。

実力では「甲幹」に合格していたものの、居眠りがバレたことにより、上官から「甲幹に合格だが、処罰として乙幹にする」と告げられたのです。

一見すると不運ですが、この“降格”がやなせの運命を分けました。多くの甲種幹部候補生たちが前線に送られ命を落とすなか、やなせは内地に留まり、暗号班という比較的安全な任務に就くことになります。

きゅんはむ
きゅんはむ

これぞ“塞翁が馬”…!戦場では“運”って、本当に命を左右するんだね…。

※塞翁が馬(さいおうがうま)=人生の幸不幸は予測不能。一見不幸に見えることでも、後に逆転することもあり、逆もまた同様。中国の故事に由来する言葉。

戦地での配属先は、“暗号班”だった

伍長に昇進したやなせは、大隊本部の「暗号班」に配属されます。任務は、乱数表を使った暗号の解読と指令の伝達。命令の時間や場所が少しでもズレれば、部隊が壊滅する可能性もある――それほどプレッシャーのかかる役職でした。

とはいえ、教練や戦闘が主体の現場勤務とは違い、比較的安全なポジションであったことも事実です。やなせ本人も「教練より暗号の勉強の方がよほど楽だった」と語っています。

きはむ
きはむ

のちに紙芝居を描いたり、中国の村で宣撫活動をしたりと…戦争中にそんな役割があったんだ?とビックリ。

きゅんはむ
きゅんはむ

暗号班は緊張感はあるけど、最前線に比べたら天国だったかも?著書では怪しい人物(スパイ)が結構いたとあって、そっちが気になったよ。

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【実話解説②】暗号班とは?やなせたかしが担った軍務の中身

やなせたかしは戦地で“暗号班”に配属されましたが、実際にはどんな仕事だったのでしょうか? やなせ本人の回想からはその“裏方”としての苦悩や静かな緊張感が伝わってきます。

暗号解読と命令伝達のプレッシャー

やなせたかしの語る暗号班の仕事は、まさに“戦場の頭脳”とも呼べるものでした。暗号電報を解読し、内容に間違いがないか確認してから上官に報告する。

その内容が「何月何日何時に、どこそこに集結せよ」といった作戦行動に直結する命令であった場合、一桁の数字ミスが部隊壊滅に直結することすらあります。

そのため、やなせは「間違っていたらどうしよう」「本当に正解だったかな」と、任務のたびに不安に駆られたといいます。

きはむ
きはむ

ただの数字合わせかと思ったら、命がかかってる…!間違ったら“全滅”とか…そりゃ震えるよ…。

表立って戦う役目ではなくとも、戦地における「情報の責任」は極めて重い。やなせが語る緊張感から、それがひしひしと伝わってきます。

暗号班の日常と“内地残留”という運命の分かれ目

暗号班の日常は、他の兵科と比べれば格段に“安全”でした。座学が中心で、銃剣を振り回す教練や、前線での白兵戦とは無縁。戦地に行ってからも、やなせは村長の家を接収した大隊本部で、比較的穏やかな日々を過ごしていたといいます。

また、彼のような下士官クラスで暗号業務に就く者は、“内地に残される”運命を持ちやすかった点も見逃せません。事実、彼が将校コース(甲幹)に進んでいれば、満州などの激戦地に送られていた可能性が高かったのです。

きゅんはむ
きゅんはむ

“運命の分かれ目”って本当にあるんだね。戦争って、生き残るために何が良かったかなんて、後からじゃないとわからないし…難しい…。

戦後、やなせが「ぼくは戦争は大きらい」と語った背景には、表も裏も知る者としての実感がありました。生き延びた者の“複雑な後悔と使命感”は、のちの創作にも色濃く影響を与えていくのです。

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【比較】『あんぱん』11週の“嵩=伍長”描写の実話との関係

『あんぱん』第11週で描かれた嵩の軍隊生活は、やなせたかしの実体験を忠実に下敷きにした描写が多く見られます。では、具体的にどの点が実話に基づいているのでしょうか?

嵩=やなせたかし、伍長から中国の戦地へ

まず大きな流れとして、嵩が幹部候補生試験に合格し、“乙種”として伍長に昇進するくだりは、やなせの実体験と一致しています。やなせもまた、試験前夜の居眠りを理由に「甲幹」から「乙幹」へと降格され、最終的に伍長になりました。

また、嵩が小倉連隊に所属し、佐世保から出征して中国の福州へ向かう描写も、著書『ぼくは戦争は大きらい』の記録と完全に重なります。福州での駐屯生活、村の接収、大隊本部勤務…こうした描写はまさに「嵩=やなせ」の図式を裏付けています。

きはむ
きはむ

ドラマの嵩は、やなせたかしの自伝のよう!でも、『あんぱん』に登場する八木上等兵は誰なんだろう…?

八木信之介=“新屋敷上等兵”がモデルか?

『あんぱん』で嵩の面倒をみる上等兵・八木信之介(演:妻夫木聡)は、一見ドラマオリジナルのキャラクターに見えますが、実はやなせの回想に登場する「新屋敷上等兵」との共通点が多くあります。

新屋敷上等兵は、やなせが“理不尽な軍隊生活の中で心を許せた数少ない存在”として記録しています。学があり温厚、暴力を嫌う性格、そしてやなせにとっての“兄のような人物”──これらの特徴は、八木にも色濃く反映されています。

さらに、『あんぱん』の八木は、嵩の幹部候補試験に推薦の口添えをする役回りでも登場しており、「人生を左右する出会い」の象徴として機能しています。

きゅんはむ
きゅんはむ

新屋敷上等兵については、著書『アンパンマンの遺書』に登場しているよ。戦場でも親切にしてくれる人がいてくれて、本当に良かった…!

詳しい考察は、記事「【あんぱん実話】八木信之介(妻夫木聡)の実在モデルは辻信太郎?やなせたかしとサンリオ社長の関係も検証」にてまとめていますので、あわせてご覧ください。

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まとめ:“伍長”という階級に刻まれたやなせたかしの実体験とは?

朝ドラ『あんぱん』第11週に登場する“伍長・嵩”の姿には、やなせたかし自身の戦争体験が色濃く重ねられています。

軍隊という理不尽な世界で幹部候補生となり、伍長へと昇進。安全な任務とされる「暗号班」に配属されながらも、命令一つの誤りが大惨事を招くという責任を背負い続けたやなせの記憶は、嵩というキャラクターに確かなリアリティを与えています。

戦地で出会った人々の中に、彼が心から信頼できる人物がいたこと──それが“八木”であり、やなせの回想に登場する新屋敷上等兵の面影が投影されているのです。

戦後、やなせたかしは「戦争は大きらい」と語り続けました。『アンパンマン』という平和の象徴を生んだ背景には、“伍長”としての現実が確かに存在していたのです。

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参考文献、資料:
旧陸軍の階級と部隊編制(ADEAC)

  1. ぼくは戦争は大きらい(やなせたかし 小学館) ↩︎
mina

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