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アンパンマンのモデルはやなせたかし自身!フランケンシュタイン×井伏鱒二×太宰治がルーツって本当?

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国民的ヒーロー「アンパンマン」は、実は“戦わないヒーロー”です。空腹の人に自分の顔をちぎって与え、力ではなく優しさで人を救う──そんな異色の存在には、深い思想と物語が込められています。

やなせたかし自身が語ったように、「アンパンマンのモデルは自分自身」。そこには、戦争体験の苦悩や、「正義とは何か」という問いが強く反映されています。

さらに注目すべきは、やなせたかしの創作の背景に“文学”があったこと。銀座で出会った『フランケンシュタイン』の映画、井伏鱒二の詩集『厄除け詩集』、そして太宰治の弱者のまなざし──3つの影響が、あのやさしいヒーローの原点を作り上げていたのです。

きゅんはむ
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知られざるアンパンマン誕生秘話。やなせたかし先生の著書『みんなの夢まもるため』でも詳しく紹介されています◎

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アンパンマン=やなせたかし!漫画家ヤルセ・ナカスが生みの親

やなせたかしさんの多くの書籍にアンパンマン誕生秘話が書かれていますが、最初にアンパンマンが登場したのは、ラジオドラマのコント、その後昭和44年(1969年)1月より月刊『PHP』で1年にわたり短編メルヘンを連載。その中で「アンパンマン」を発表しています。

ただ、その頃のアンパンマンは“ただの太った人間のおじさん”。現在のアンパンマンとは違い、着古した衣類やマントはボロボロで見た目も不細工でした。

今のアンパンマンの見た目に近づいた作品が、昭和50年(1975年)。やなせさんが責任編集をしていた雑誌『詩とメルヘン』の中での連載「熱血メルヘン 怪傑アンパンマン」という大人向けの読み物の中でした。

きはむ
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連載の主人公は売れない漫画家ヤルセ・ナカス。これも、やなせさん本人がモデルで女優さんに言われた「やなせさんはやるせなく泣かす人ね」から来ているそう。

きゅんはむ
きゅんはむ

へー!赤ちゃん人気がすごいアンパンマンが最初は大人向けに描かれてたってビックリ。アンパンマン誕生秘話…気になる~!

やなせたかしの戦争体験と正義観

「アンパンマンって、ただの子ども向けキャラでしょ?」そんな印象がくつがえるのが、やなせたかし自身の半生を知ったときです。

太平洋戦争のさなか、やなせさんは徴兵され、中国戦線で終戦を迎えました。軍隊では、理不尽な命令と飢えが日常茶飯事。敵を倒すことが正義だと教えられながらも、「何が正しくて、何が間違っているのか…本当の正義とはなんだろう?」と疑問を抱き続けていたのです。

著書『アンパンマンの遺書』や『ぼくは戦争は大きらい』からも、“正義のために戦ったのに、戦後“加害者”とされる苦しさは、筆舌に尽くしがたい”という、やなせさんの想いが見えてきます。

正義の名のもとに行動しても、時代が変われば“悪”とされてしまう。この理不尽を体験したやなせさんだからこそ、“逆転しない正義”を描こうとしたのです。

「空腹の人に食べ物をあげる」アンパンマン誕生の原点

アンパンマンの特技といえば、「顔をちぎって食べさせる」こと。子どもにとっては面白く、大人には衝撃的なこの設定には、深い原点があります。

戦時中最も多い死因は餓死。6割が餓死との学説1にもあるとおり、戦時中に最も人々を苦しめたのは“飢えによる恐怖”でした。自身も戦争で飢えを経験したやなせたかしさんだからこそ、生み出せた「戦わないヒーロー」。

誰かを殴って勝つのではなく、“自分の命を分けて誰かを助ける”というアンパンマンの姿は、やなせさん自身の正義の体現だったのです。

きはむ
きはむ

戦わないヒーローって逆にすごい!スーパーマンのアンチテーゼ(反対意見)で生まれたアンパンマンは、“やなせさん自身”だったんだね…!

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フランケンシュタイン×井伏鱒二×太宰治!創作に影響を与えた3つのルーツ

やなせたかしが生み出したアンパンマンは、ただの子ども向けヒーローではありません。その背景には、文学・映画・詩など多様なカルチャーがありました。

やなせさん自身が「ごちゃ混ぜになった」と語る3つの源泉──それが「フランケンシュタイン」「井伏鱒二」「太宰治」です。2

フランケンシュタイン:“見た目で恐れられる孤独な存在”

 物語は、嵐の夜にアンパンマンが登場するところから始まります。映画のフランケンシュタインのイメージを借りて、超自然的な力が作用してアンパンが生命をもつのです。

みんなの夢まもるため(やなせたかし)16ページ

やなせ青年が銀座で観た『フランケンシュタイン』は、衝撃的な体験だったといいます。醜い見た目ゆえに人々から怖がられ、理解されない怪物。けれど本当は、誰よりも純粋で、ただ愛されたかった──。

この「外見と中身のギャップ」への共感は、そのままアンパンマンの“顔をちぎって与える”奇妙さへとつながったのかもしれません。

アンパンマンもまた、見た目は奇抜でも、人のためにすべてを差し出す“愛”の象徴なのです。

井伏鱒二:詩集『厄除け詩集』と“さよならだけが人生だ”

銀座の古本屋で出会った一冊、それが井伏鱒二の『厄除け詩集』。やなせさんが強く心惹かれた詩集で、朝ドラ『あんぱん』でも重要な小道具として描かれました。

なかでも有名なのが、漢詩『勧酒』の名訳。

花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ

華やかさと儚さ。笑顔の裏にある悲しみ。それでも前を向いて生きる──。この“逆転しない詩”のまなざしは、やなせ作品の根底にある「現実を抱きしめる優しさ」へと昇華されました。

「人を喜ばせることが、せめてもの人生の慰めになる」
それは、やなせさんが後に語る“喜ばせごっこ”の哲学にもつながっています。

≫【やなせたかし愛読書】井伏鱒二『厄除け詩集』について

太宰治:“弱さを描く文学”に影響されたやなせの語り口

太宰治の文学に漂う、自嘲や自己否定、そして弱者への視線。やなせさんもまた、太宰の作品を「井伏先生の弟子として」読む中で、そこに親しみを感じていたといいます。

『詩とメルヘン』では、ただ可愛らしいだけでなく、“少し屈折した”“やさしい毒のある”詩や物語が多く見られます。悲しみや孤独、劣等感といったテーマを、太宰的な皮肉と、ほんの少しの希望で包み込む──。

まさに、ユーモアと哀しみのバランス感覚。これはアンパンマンの“正義とは何か”を問いかける静かなメッセージにも通じます。

きゅんはむ
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「熱血メルヘン 怪傑アンパンマン」に出てくる編集者の名前はミテ・ミルカ。面倒くさそうにヤルセ・ナカスの漫画を見る設定。

きはむ
きはむ

ヤルセ・ナカス=やなせたかしさんとすると、漫画家として売れていないって思っていたんだね。アンパンマンが“悲しみ”を知ってる理由は、ここにもあったのかも。

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アンパンマンの誕生は、“大人向け詩集”だった!絵本に込めた哲学

一見シンプルな子ども向け絵本『アンパンマン』。けれど、その奥には「生きるとは?」「正義とは?」という、大人こそ悩むような問いが静かに込められています。

やなせたかしは、子どもに語りかけながら、大人の心にも詩のように届く言葉を紡ぎ続けたのです。

戦わず与えるアンパンマンの行動

アンパンマンは、いわゆる“戦うヒーロー”ではありません。彼が本当にやりたいことは、人を倒すことではなく──「空腹の人に、顔をちぎって食べさせる」という“行動そのもの”です。

「顔をちぎる」という行為には、自分の一部を差し出してでも助けるという、究極の自己犠牲が込められています。これは、どこかキリスト教的な献身にも通じるし、また仏教における布施や利他の精神にも近い。

実際、やなせさん自身も「戦うより、分け与える方がかっこいい」と語っており、戦後の反戦思想や、生きる苦しみを知る者ならではの“非暴力”への信念が見て取れます。

「詩とメルヘン」とは?やなせたかしの“詩人”としての側面

やなせたかしは単なる絵本作家ではありません。彼は、雑誌『詩とメルヘン』の編集長として、“詩人”や“表現者”としての顔も持っていました。

やなせさんの詩には、美しさや優しさだけでなく、かすかな寂しさ、弱さ、祈りのような感情が漂います。

「希望があるから、生きていける」
それが、やなせたかしの生涯を貫く哲学。

アンパンマンというキャラクターは、そのやなせ詩学の結晶でもあるのです。

シンプルな絵と言葉の中に、子どもも大人も救われる“やさしい哲学”が息づいている──それこそが、アンパンマンが長年愛されてきた理由なのかもしれません。

きゅんはむ
きゅんはむ

これ…子どもより、大人の方が泣いちゃうやつかも…!優しさの中に、哲学がギュッと詰まってる!

アンパンマンが誕生した雑誌『詩とメルヘン』は2003年8月を最後に休刊(事実上の廃刊)となり、現在本誌を書店で手に入れることはできません。しかし、著書『あれはだれの歌 新装版 やなせたかし詩とメルヘンの世界』で、その一端に触れることができます。

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この本の企画を聞いた時とてもびっくりした。よくも悪くもこれはやなせたかしのエキスでアンパンマンの血液みたいな本だと思った(やなせたかし)

きはむ
きはむ

やなせたかしさんのライフワークだった『詩とメルヘン』は通算385号も刊行!アンパンマンが誕生した雑誌、気になる方はぜひ手に取ってみてね。

≫『詩とメルヘン』誕生秘話✨やなせたかしとサンリオ創業者・辻信太郎との関係

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まとめ:アンパンマンは“やなせたかしの人生そのもの”

アンパンマンは、単なる子ども向けのキャラクターではなく、やなせたかし自身の人生哲学を体現した存在です。

アンパンマン誕生の裏には…
  • 戦争の記憶と「本当の正義」への問い
  • “見た目で恐れられる存在”への共感(フランケンシュタイン)
  • 「さよならだけが人生だ」という無常観(井伏鱒二)
  • 弱さや孤独を抱える人へのまなざし(太宰治)

これらが重なり合い、“戦わずして救う”というアンパンマンの行動原理が生まれました。そして、それはまるで絵本というかたちをした“大人向けの詩集”のようでもあります。

やなせたかしさんが戦争を経験し約80年が経過していますが、今でも世界では争いが絶えません。今だからこそ、アンパンマンを“深く読む”価値がある──やなせたかしが残したメッセージに、あらためて心を傾けてみてはいかがでしょうか。

参考文献、資料:

  1. 戦没者230万人、6割「餓死」の学説も(毎日新聞) ↩︎
  2. アンパンマンの遺書(やなせたかし 岩波現代文庫) ↩︎
mina

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