『あんぱん』第6週から登場した図案科教師・座間晴斗(ざま はると)が、あまりに自由すぎるとSNSで話題になっています。
嵩たち新入生に「銀座に行って遊んできなさい」と語るその姿は、これまでの朝ドラにはない型破りな教師像。戦時下の日本において“自由を教える教師”というキャラクターは、強烈な印象を残しました。
そんな座間晴斗には実在のモデルがいることをご存知でしょうか?その人物こそ、やなせたかし氏の恩師・杉山豊桔(すぎやま とよき)。彼は図案科という分野で、時代に逆らってでも“自由な発想”を教えた実在の教育者でした。
本記事では、座間晴斗のモデル・杉山豊桔の人物像や教育方針、やなせ氏との実話エピソードをもとに、『あんぱん』のキャラ造形がどこまで現実と重なるのかを深掘りしていきます。
座間晴斗(山寺宏一)とは?自由すぎる図案科教師が話題に
朝ドラ『あんぱん』第6週から登場した図案科の教師・座間晴斗(ざま はると)は、登場するや否や視聴者の間で「一体この先生何者!?」と大きな話題になっています。
登場シーンからしてインパクト抜群。嵩が東京高等芸術学校に入学し、最初に出会うのがこの座間先生。いかにも風変わりな印象で、スーツの着こなしからして型破り。授業ではいきなり「型にはまるな」「銀座に行って遊んできなさい」など、生徒の常識を覆す言葉を投げかけます。

“銀座に行け”って言う教師、教師らしからぬ発言…!しかも戦時中だよ?もう最高に自由な教育者…。
🏃♀️#あんぱんのなかま🖌
— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) March 22, 2025
座間晴斗 🖊 #山寺宏一
嵩が通う芸術学校の教師。嵩にとって生き方、人生の考え方の基本を教えてくれた恩師。#朝ドラあんぱん
📅3月31日(月)スタート🏃 pic.twitter.com/cUKvyzNoaN
SNS上でも放送直後から「座間先生カッコよすぎ」「こういう先生に出会いたかった」「自由の象徴みたいな人」といった声が多数あがり、山寺宏一さんの演技も相まって一気に注目キャラになりました。

座間晴斗のモデルは杉山豊桔!やなせたかしが語った“自由な恩師”
『あんぱん』はフィクションながら、やなせたかしさん夫妻の人生をもとに描かれています。座間晴斗にも、やなせ氏の実体験に由来する“実在モデル”が存在します。
杉山豊桔とは?プロフィールと芸術学校での立場
座間晴斗のモデルとされているのが、杉山豊桔(すぎやま とよき)1という人物。彼は、やなせたかし氏が通っていた旧制・東京高等工芸学校(現・千葉大学工学部)で図案科の教授を務めていました。
当時の工芸教育は、国の軍需産業とも関わる「技術者養成」の側面が強く、軍国的・保守的な傾向がありました。
彼は図案科の学生たちに“遊び心”や“街を見る目”を養わせ、教室に縛られず、街に出て刺激を受けてこいと勧めました。この精神が、ドラマの座間晴斗というキャラクターに色濃く反映されています。
やなせたかしが語る「銀座に行け」の逸話
座間晴斗の決めセリフ「銀座に行け!」は、実はやなせたかしさんが実際に言われた言葉でもあります。やなせ氏は回想録で、次のようなエピソードを語っています。
この体験が、のちのアンパンマンの“型破りなヒーロー像”や“固定概念にとらわれない発想”に直結していると、本人も明かしています。

え、毎日銀座通いって最高の課題♪この自由な教育が“愛と勇気”を育てたんだね~◎座間晴斗のセリフは、まさにやなせ氏の青春そのもの!
図案科とは実用デザインを学ぶ科!当時の芸術教育の中での役割
そもそも「図案科」とは何なのでしょうか?今でこそあまり耳にしない言葉ですが、当時の芸術系学校では、美術や工芸における「実用デザイン」を専門に学ぶ学科が存在していました。
この点でも、図案科の生徒には“机上の理論”だけでなく“現場感覚”や“時代の空気を読む力”が求められていました。そのため杉山教授のように「街に出てこい」「流行を見ろ」と説く指導方針は、非常に合理的かつ先進的だったのです。
ちなみに、東京高等工芸学校の図案科2は定員20名の難関で、やなせ氏も苦労して入学したそう!やなせ氏の進学した官立旧制東京高等工芸学校図案科は、現在「千葉大学工学部総合工学科デザインコース」3となっています。
🏃♀️#きょうのあんぱん🖌
— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) May 2, 2025
嵩の受験結果は…見事合格!🌸✨
抱き合って喜ぶ嵩と寛😊
「嵩!おまんが頑張ったがじゃ!」
🔻そんな二人を見つめていたのは…https://t.co/rLKEwrwkPW#北村匠海 #竹野内豊 #松嶋菜々子#朝ドラあんぱん pic.twitter.com/nP7smceAkN
なぜ“自由な教育”が必要だったのか?戦時下の芸術教育背景
座間晴斗のモデル・杉山豊桔が「自由」を説いたのは、ただの理想論ではありませんでした。彼が“自由”を何よりも大切にしたのは、時代がどんどん不自由になっていたからです。
舞台となる昭和10年代後半、日本は戦争へと突き進んでいました。日中戦争の勃発(1937年)、国家総動員法(1938年)、太平洋戦争の開戦(1941年)へと続く中で、国民の生活・思想・教育までもが軍の管理下に置かれていきます。

え…アートすら“お国のため”じゃなきゃダメってこと!?そんな中で“銀座に行け”って言う教師、マジで反逆者レベル…!
そんな息苦しい時代にあって、杉山豊桔は“学生には自由を教えるべきだ”という信念を貫きました。教室に閉じこもらず、街を歩いて刺激を受け、自分の目で世界を見ろと指導したのです。
\やなせたかし氏の人生をチェック!朝ドラ『あんぱん』誕生まで/

まとめ:座間晴斗は、やなせ氏の恩師「杉山豊桔」がモデル
『あんぱん』の座間晴斗は、自由を重んじる異色の教師として、嵩だけでなく視聴者の心にも強く残る存在です。その背景には、実在した恩師・杉山豊桔の教育と、戦時下という“自由が失われていく時代”への抗いがあったことがわかります。
\#朝ドラあんぱん キャスト発表/
— NHKドラマ (@nhk_dramas) November 18, 2024
-のぶと嵩が学生時代に出会う主な人々-
座間晴斗(ざま・はると) 役
🎊#山寺宏一 さん🎊
役柄:
嵩が通う芸術学校の教師。嵩にとって生き方、人生の考え方の基本を教えてくれた恩師。
2025年度前期#連続テレビ小説【#あんぱん】 pic.twitter.com/JRAwHF6zzy

座間先生(杉山豊桔氏)=やなせ作品の原点!座間先生役はアンパンマンのチーズの声をしている山寺宏一さん。何だか運命を感じるね♪
『あんぱん』では、こうした実在の人物をベースにしつつ、フィクションとして再構築されたキャラたちが登場します。モデルを知ることで、「どこが本当で、どこが脚色なのか?」という視点でも楽しめるのがこの作品の醍醐味です。
ドラマの中の座間晴斗が、どのように嵩を導き、どんな“種”をまくのか。それは、後の“アンパンマン誕生”につながるかもしれない――そんな想像をしながら、今後の展開を見守りたいですね。
参考文献、資料:
- やなせたかし『アンパンマンの遺書』(岩波現代文庫) ↩︎
- やなせたかしについて(やなせたかし記念館) ↩︎
- やなせたかし(Wikipedia) ↩︎
- やなせたかし『アンパンマンの遺書』(岩波現代文庫) ↩︎
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