この記事では、2025年1月期夜ドラ「バニラな毎日」と続編シリーズ「バニラなバカンス」の原作小説についてのネタバレを含むあらすじ、感想を紹介します。

ドラマ「バニラな毎日」は、NHKが手掛ける夜のドラマで、毎週月曜から木曜の夜10時45分から15分、8週にわたり全32回の放送が予定されます。

小説【バニラな毎日】ってどんな話？簡単に分かりやすく解説

この小説は6章から成っており、それぞれの章で異なったお菓子を作る様子が描かれます。もちろん、お菓子を作るだけでなく、菓子作りを通して疲れた心を癒やすヒューマンストーリーとなってます。

簡単に解説すると、潰れた洋菓子店の店主（主人公）・白井葵（演：蓮佛美沙子）が、パワフルなかつての常連客で料理研究家の佐渡谷真奈美（演：永作博美）に頼まれ、閉めた店の厨房で佐渡谷が連れて来たクライアントに対し、一対一でお菓子作りを教えます。その中で、白井自身も自分と向き合う時間を過ごします。

夜ドラ【#バニラな毎日】#蓮佛美沙子 #永作博美
孤独な人たちの心の渇きをお菓子が癒やす
じんわり心があたたかくなる小説「バニラな毎日」をドラマ化！

原作:賀十つばさ
脚本:倉光泰子
音楽:jizue

2025.1月スタート
総合 毎週月～木 よる10:45https://t.co/r3CjRZfX3l pic.twitter.com/Ih5opxsvoS

— ＮＨＫドラマ (@nhk_dramas) October 17, 2024

続編シリーズ【バニラなバカンス】ってどんな話？簡単に分かりやすく解説

続く続編小説「バニラなバカンス」では、再び開店した店前に大きな穴が開くというトラブルが発生します。向かいの工事現場が原因で店へと続く道が沈没し、店が開店休業状態に陥ります。その大変な時に、佐渡谷がフランスから恋人と別れ舞い戻ってきてしまいます。

しばらくして佐渡谷を追いかけフランスから恋人のヴィクトーも来日し、結局二人は元の鞘に収まります。平和が戻ったかと思いきや、今度は再び白井に不運が訪れます。なんと、ずさんな工事現場のおかげで、金属板が飛んできたことにより全治三か月の怪我を負ってしまいます。

治るものと思っていた怪我が酷く、元の手の動きを取り戻せないということが判明し落ち込む白井。しかし、気分転換に行ったライブで視野が広がりバニラアイスをリハビリで作ってみることにします。

【ネタバレあり】小説「バニラな毎日」あらすじ＆ネタバレ感想

ここからは、1章から各章の内容を詳しく紹介していきます。ネタバレを含むので、予備知識なしにドラマや原作を楽しみたい方はご注意ください。

【Recipe1】最後のガレット・ブルトンヌ：心を癒やす場所

最初のレッスンでは、バターたっぷりの焼き菓子「ガレット・ブルトンヌ」が登場します。このエピソードでは、白井の閉店後の苦悩や葛藤が描かれていますが、佐渡谷が持つ朗らかさが白井の閉ざされた心を少しずつ開かせていきます。

※ドラマでは大阪が舞台になっていますが、原作小説は「東京の西エリア、繁華街から少し離れた場所」となっています。

【Recipe2】失敗は成功のタルトタタン：失敗からの再生

次のレッスンでは、りんごを使った「タルトタタン」。クライアントの順子は、仕事のストレスで会社を休職中のエリート社員です。初めてのお菓子作りに挑むも、「失敗作」と思ったタルトタタンを通じて「失敗も成功の一部」と気づき、会社復帰を決意します。タタン姉妹の逸話が象徴するように、偶然の産物も人生に新たな意味を与えることがあります。

【Recipe3】混沌がおいしいイートン・メス：親子の再生

結杏（ゆあん）という中学生のクライアントが登場するエピソードでは、イギリスの伝統菓子「イートン・メス（ストロベリー、メレンゲ、クリームを混ぜて作るイギリスのお菓子）」が取り上げられます。混ぜ合わせたメレンゲやクリームが見た目の混沌を演出しつつも、親子の絆を深める象徴として描かれています。

【Recipe4】完璧オペラと上出来ホットケーキ：完璧と素朴さの対比

白井が憧れとする「完璧なお菓子」を象徴するザッハトルテと、幼少期の原点である「ホットケーキ」。歌手・静（SHIZUKA）が現れ、白井に「人を癒やすお菓子には愛が必要だ」と指摘する場面は、彼女が自分の過去を振り返り、母親との関係に折り合いをつけていくきっかけとなります。

【Recipe5】謙虚で自由なモンブラン：新たな一歩

母親との確執を抱える優美のエピソードでは、モンブランが象徴的に登場します。優美は、母親の愛情を素直に受け入れられないまま引きこもっていましたが、自分の好きなチーズケーキ風モンブランを作ることで「自分らしく生きる道」を見つけます。

【Recipe6】バニラな毎日：未来への決断

物語のラストは「パウンドケーキ」のレッスンです。佐渡谷はフランスに旅立ち、白井も再び店を開く決意を固めます。ここでのパウンドケーキは「どんな材料でも工夫して仕上げる強さ」を象徴しており、白井の新たな旅立ちを示唆する印象的なシーンです。

『バニラな毎日』は、ただのスイーツ小説ではなく、人生の苦味や甘さをお菓子に重ねた深い物語です。読者は甘い香りと共に登場人物たちの成長を見守り、最後には自分の人生を少し前向きに見つめたくなるはずです。ドラマ版ではどのように描かれるのか、期待が高まります。

【ネタバレあり】続編「バニラなバカンス」あらすじ＆ネタバレ感想

続く続編シリーズ「バニラなバカンス」も全6章から成っています。佐渡谷のお節介から再び店をオープンした白井でしたが、順調にはいかずハプニングから物語がスタートします。

【Recipe1】甘くて辛い人生みたいなスパイシーココア：人生のほろ苦さ

物語は、工事による陥没で店が営業休止になるところからスタート。この予想外のトラブルで白井は途方に暮れますが、タイミング悪く佐渡谷がフランスから失恋して帰国する事態に。

佐渡谷は食欲も失い沈んだ様子ですが、白井が用意したスパイシーココアの香りに思わず「人生みたい」と呟きます。甘さの中に辛さが潜む大人味のココアは、まさに彼女の心情を表しているかのようです。

Recipe2】忘れるためのニューヨーク＆バスク・チーズケーキ：癒しの一皿

新キャラクター三沢は、集中力が続かず仕事に困難を抱える青年。彼は「お菓子作りで自分を変えたい」と白井を頼ります。静や佐渡谷と共に、心を込めたニューヨークチーズケーキを作りますが、どこか佐渡谷の心を満たせず涙を誘う結果に。

その後、焼き目が香ばしい「バスクチーズケーキ」を作ることで佐渡谷は「前に戻ることも悪いことじゃない」と少しずつ心を解きほぐしていきます。

【Recipe3】理屈なんかどうでもよくなるフラン：復縁のフランス菓子

佐渡谷を追って日本に来たヴィクトーが、「彼女の心を取り戻したい」と白井に相談する場面は印象的です。恋愛マスターの静も交え、ヴィクトーは心を込めたフランを作り、佐渡谷を店へ誘います。

【Recipe4】自信をのっけるショートケーキ：母と子の絆

新たなクライアントである小学生の広貴が登場します。亡き祖母と「話す」姿に戸惑う大人たち。しかし白井は、時代によって「不思議な子」の受け止め方は変わると考え、受け入れます。

【Recipe5】心に寄り添うアイスクリーム：絶望からの再出発

白井は工事のトラブルで怪我を負い、パティシエとしての道を絶たれる危機に直面します。利き手が動かないと分かり絶望する白井ですが、静の歌声に背中を押され、新たな希望を見出します。

【Recipe6】積み上げたものをぶっ壊す御祝いケーキ：新たな旅立ち

結婚祝いの場面で作られるクロカンブッシュは、積み上げたシュー生地をカラメルで固めた華やかなデザートです。白井、佐渡谷、ヴィクトーの3人で完成させたこのケーキは、これまでの努力と苦労を象徴するような作品です。

しかし、店の立ち退き問題という新たな試練が訪れます。それでも白井は「自分も新しい一歩を踏み出したい」とフランス行きを決意。

まとめ：小説「バニラな毎日」と続編「バニラなバカンス」を読んだ感想

「バニラな毎日」と続編の「バニラなバカンス」を通して感じたのは、お菓子作りが単なる趣味や仕事以上に、人々の心を癒し、成長のきっかけを与える大切な役割を果たしているということです。白井さんは、パティシエとしての確かな技術を持ちながらも、お店が閉まるなどの困難に直面し、迷いや挫折を感じるキャラクターです。

彼女が再び立ち上がり、前向きに進む姿には強い共感を覚え、応援したくなります。お菓子教室に集まるクライアントが抱える悩みや心の傷も、お菓子作りを通じて少しずつ解きほぐされていく様子が温かく、じんわりと心に響きました。

🍰#夜ドラ【#バニラな毎日】🧁
月曜から木曜 夜10:45〜11:00
＼1月20日（月）放送スタート／

本日の記者さんを招いての試写会で、
『バニラな毎日』の主題歌#SUPERBEAVER 「#涙の正体」×本編映像を公開！
皆さまにもいち早くシェアします。#蓮佛美沙子 #永作博美 #木戸大聖 pic.twitter.com/OMiuo9HJtB

— ＮＨＫドラマ (@nhk_dramas) January 16, 2025

特に印象的だったのは、白井さんと佐渡谷さんの関係です。佐渡谷さんは、明るくて大胆で、時に図々しくもありますが、そのキャラクターが周囲の人々に自然と変化をもたらしていきます。彼女がいてこそ、白井さんも本来の自分と向き合い、店を再オープンする決断ができたのかもしれません。

続編の「バニラなバカンス」では、さらに幻想的な要素が加わり、物語がより深みを増しています。白井さんが現実を受け止めつつも、未来へと新たな一歩を踏み出そうとするラストシーンは、読者に「日常の中にも冒険や発見がある」と気づかせてくれるポイントでした。

全体を通して、「バニラな毎日」シリーズは「日常の中のささやかな幸せを大切にすることの意義」を伝えています。甘くほろ苦いバニラの香りと共に、登場人物たちが過去や困難を乗り越えていく姿に、今の自分を受け入れることの大切さを改めて感じました。