竹内涼真主演でドラマ化が決定した『看守の流儀』。その原作となる小説は、刑務官たちの温情と葛藤を描いた、知る人ぞ知るヒューマンミステリーです。
本記事では、ドラマで気になった人向けに、原作小説のネタバレ感想を分かりやすく解説。全5話のあらすじと読みどころ、そして最終話で明かされる“火石指導官の正体”や巧妙な伏線についても深掘りしていきます。
「刑務官と受刑者」という緊張感の中に、意外なほどの人間味と温かさ――ドラマと原作を見比べる楽しみも含めて、あなたの背中をそっと押してくれる物語です。

ドラマから小説を知った人はもったいないー!まだドラマを見ていない人は、先入観なしで城山真一氏の原作を手に取ることをおすすめします。
【ネタバレなし】原作小説『看守の流儀』とは?あらすじと基本情報
まずは、『看守の流儀』ってどんな話?と気になっている方に、ネタバレなしで物語の概要を解説していきます。
加賀刑務所を舞台にした、5編の連作短編集
石川県・金沢にある架空の加賀刑務所を舞台に、刑務官と受刑者たちが織りなす全5話の連作短編集。作者は『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家・城山真一氏で、ジャンルとしては本格ミステリーに分類されますが、その芯にあるのは“人間再生のドラマ”です。
各話に異なる事件と登場人物が登場しながらも、物語の背景では共通の時間と空間が流れており、ひとつの大きな物語としてつながっていく構造が魅力的です。刑務所という閉鎖空間ならではの人間関係と緊張感が、どの話にも濃密に描かれています。
登場人物は刑務官が中心!火石指導官が全話に関与
主人公格は回ごとに異なるものの、すべての話に共通して登場するのが「火石司(ひいし・つかさ)」という謎多き上級刑務官。この人物が、事件の解決を陰で導いていく役割を担っています。
冷静沈着で優秀な刑務官である火石は、各話の刑務官たちからも一目置かれる存在。しかしその素性や過去には謎が多く、物語終盤まで読者を翻弄し続けます。

ミステリーでありながら“探偵役(?)”が看守というのが新鮮!とにかく、この火石さんが超絶カッコイイ!読みながら見た目を想像しちゃうよ。
これより先の内容はネタバレを含むため、ドラマを見ておらず、まだ内容を知らない方は、ぜひ先入観なしで本作を手に取ってみることを強くおすすめします!

【ネタバレ感想①】各エピソードの魅力=人間ドラマ!短編でも読みやすい
『看守の流儀』は、1話ずつ異なる刑務官が主人公となり、彼らが直面する事件や受刑者との関係を描いています。短編ごとに視点もテーマも異なりながら、すべてに“火石”が関与しているという構成が、読者をぐいぐい引き込みます。
第一話:ヨンピン(模範囚の失踪)
仮出所した模範囚が、突如として失踪するという事件。捜索にあたるのは、若手刑務官・宗片。調査の中で、模範囚に届いた“差出人不明の手紙”にあった電話番号が手がかりとなり、失踪の理由と過去の因縁が明らかになります。
実はその手紙の差出人は、模範囚の恋人であり、彼女は宗片の上司の“元妻”。家庭内暴力の過去など、刑務所の外の問題も複雑に絡み合い、ヒューマンドラマとして深い余韻を残します。
第二話:Gとれ(試験問題流出)
刑務作業として印刷業を請け負っている加賀刑務所で、大学入試問題の情報が漏洩。犯人捜しを任された刑務官・及川は、受刑者のひとりが暴力団から足を洗うために受講していた「Gとれプログラム」に注目します。
火石のアドバイスも受けながら、密かに外部と連絡を取っていた受刑者の手口を暴き、見事に事件を解決。社会復帰をめざす受刑者たちと、それを見守る刑務官の葛藤が描かれます。
第三話:レッドゾーン(医師の苦悩)
行政文書を確認中、健康診断の記録とレントゲンフィルムの消失が判明。犯人探しに動くのは、真面目な刑務官・小田倉。総務部と処遇部の対立という内部事情も絡み、疑心暗鬼が渦巻く中、意外な真相が浮かび上がります。
実は、刑務所の医師が目を患い、誤診の可能性を恐れて、外部医師に再確認を依頼していたことが発覚。犯意はなく、むしろ責任感からの行動だったという事実が浮き彫りになり、読者の心を揺さぶります。
第四話:ガラ受け(末期がん受刑者の秘密)
余命3ヶ月と宣告された受刑者・貝原。刑務官の越田は、彼に刑の執行停止を提案し、家族と最期の時間を過ごせるよう働きかけますが、貝原はこれを拒否。
越田が調査を進める中で、不倫相手だった女性が実は“元上司の隠し子”であり、亡き先代(会社の社長)との約束を守るために秘密を抱え続けていたことが判明。最後は越田の計らいで再会が叶い、涙なくしては読めない感動的な結末となります。
第五話:お礼参り(出所者の逆お礼参り)
出所した受刑者が、復讐目的で「お礼参り」を計画――と見せかけて、読者をミスリードする構成が光る最終話。語り手視点が入れ替わる叙述トリックで、「恨まれていると思われた男」こそが実は狙われている側だったという驚きの展開へ。

1話ずつ読み応えがあって、刑務所の「裏の人間関係」に惹きこまれたよ〜!ボク、火石さん=強面イケメンを想像していたから、ビックリ。

ドラマでは最初から木村文乃さんがキャスティングされてるから驚かないけど、小説ではめっちゃミスリード!顔の傷さえも隠せない美形を想像していたよ~。
全話を読み終えたとき、事件の裏にあった人間の“弱さ”と“あたたかさ”がじんわりと心に残ります。

【ネタバレ感想②】騙されるのが気持ち良い!最終話で明かされる火石の正体
最終話「お礼参り」では、これまで火石が陰で解決に導いてきた数々の事件の真相に加えて、物語全体の“仕掛け”が明かされます。ここで判明する火石の正体は、本作最大のサプライズといえるでしょう。
火石=女性だった!叙述トリックに驚愕
原作では、火石というキャラクターの“性別”について明確な描写は避けられてきました。読者は自然と「刑務官=男性」「顔に傷」「制帽を深くかぶっている」などの描写から、“火石は男性”だと先入観を抱いて読み進めます。
しかし、最終話でこの前提が崩壊。火石は、実は女性だったことが明かされ、読者はまんまと騙されていたことに気づきます。

この点、本当ドラマから入った人は一番の驚きポイントをなくしちゃって可哀想…!原作だと“男性だと思わせる仕掛け”が巧妙なんだよね。
この「読者の思い込みを逆手に取った叙述トリック」が、本作の大きな魅力のひとつです。
三上=トランス女性受刑者との関係性
火石が“女性であること”が必要だった理由。それは、三上順太郎という受刑者の存在です。三上は元男性のアイドル歌手で、性自認は女性。戸籍上は男性のままであるため、一般の男性刑務所に収容されつつ、女性として扱うべきという非常に繊細な事情を抱えていました。

こういう問題、実際にもありそうだよね?小説では短編の間に“三上の手記”が挿入されています。ドラマでもちゃんと描いてくれるといいなぁ…。
原作では三上の孤独や葛藤も丁寧に描かれており、火石の“見えない優しさ”が読後に深く沁みてきます。
「顔の傷」「制帽」の伏線が回収される瞬間
火石の“顔の傷”や“制帽を深くかぶっている”という設定は、読者に「男らしい外見」を想像させるためのミスリード要素でした。これらが、すべて「性別を隠すための仕掛け」だったとわかったとき、物語全体の印象が一変します。
振り返れば、火石のセリフや行動の端々にも「女性的な気配」があったような…。しかし、それらをすべて“男性”と錯覚させた作者の巧みな筆致に、読者は唸らされることになります。

男性刑務所が舞台だったし、刑務官に女性がいるなんて思わなかったよ。薬剤師の女性は火石さんのこと可愛い呼び名で読んでて「あれ?」とは思ったけど…。

原作とドラマの違いは?「ネタバレの重み」を比較
小説とドラマでは、“火石の正体”という最大の謎が与える衝撃がまったく異なります。原作を先に読んだ人と、ドラマから入る人では、物語の印象が大きく変わるかもしれません。
小説は伏線→ラストで回収、ドラマは最初から火石の性別が明かされる
原作では、火石が“女性”であることが伏せられ、最終話で明かされることで衝撃を与えます。しかしドラマでは、すでに木村文乃さんがキャスティングされているため、視聴者は最初から火石が女性だとわかってしまいます。

この構造の違いにより、原作の“叙述トリックの面白さ”は、ドラマでは表現が難しいのは確かだね。
読者に与える“先入観”と“騙し”の構造がドラマではどう変わるか?
小説では、“読者の思い込み”こそがトリックの一部です。「男だと思い込んでいたけど、違った」と気づいたとき、私たちは自分の偏見にもハッとさせられます。
一方、ドラマでは視覚情報が優先されるため、同じ仕掛けで驚かせるのは困難です。代わりに、火石がなぜ“この刑務所に配属されたのか”や、三上との関係性などに焦点を当て、人間ドラマとしての深みを加える演出が期待されます。
『#看守の流儀』主演 #竹内涼真 ×#木村文乃 初タッグ!📚『#このミス』大賞 #城山真一 原作📕×『華麗なる一族』 #橋本裕志 脚本✒️×『神様のカルテ』 #深川栄洋 監督🎥 の感動ヒューマンドラマ 💧熱き刑務官の温情が大きな事件を巻き起こす!張り巡らされた伏線、個性的キャスト揃い踏み!お楽しみに! pic.twitter.com/SIfi978mGS
— 『看守の流儀』テレビ朝日ドラマプレミアム【公式】 (@ex5dpremiu66555) May 10, 2025
【考察】フィクションとしてはありだが、リアリティーに欠ける部分も
刑務所という実在の厳格な制度を舞台にした物語だけに、読者の中には「本当にこんなことあるの?」と感じる人もいます。実際、レビューサイトや知恵袋などでは現役刑務官とみられる人物による“現実との違い”の指摘もありました。
薬の渡し方や外部との接触、張り込み捜査などにリアリティの懸念
指摘された点としては以下のようなものがあります。
- 受刑者に薬を手渡ししただけで“飲んだか確認しない” → 現実では職務怠慢
- 外からの物投げ入れ → 実際は外塀6m&監視カメラで極めて困難
- 警察と刑務官がペアで捜査 → 現実では職務権限が異なるためあり得ない
つまり、『看守の流儀』はあくまでも“フィクションとしての刑務所”を舞台にしていると理解して楽しむのがよさそうです。
「本物ではない」が、「人間の温度」は伝わる作品
制度や現実性はさておき、この作品の根底にあるのは“人間を信じる力”と“情の物語”です。制度の中で感情を抑えつつ、それでも寄り添おうとする刑務官たちの姿には、どこか人間臭く、温かいものを感じずにはいられません。

「刑務官と受刑者」ってもっと無機質かと思ったけど、泣ける話が多いのも意外だった!この本の中の受刑者は、すごく悪い人というのが出てきません。
読後に「刑務所もの」という先入観が変わった、という声も多数。リアリティの正確さではなく、“伝わる温度”が評価されている作品です。

まとめ:『看守の流儀』は人間の“矛盾”と“希望”を描く物語
城山真一による小説『看守の流儀』は、単なる刑務所ミステリーではありません。一見、冷たい場所のように思える刑務所を舞台に、「人を信じる」という刑務官たちの想いが丁寧に描かれた、感情を揺さぶるヒューマンドラマです。
現実の刑務所制度とは異なる描写もありますが、それも含めて“フィクションとしてのリアリティ”を成立させ、人間の矛盾と再生を描き切った作品といえるでしょう。

ドラマから本作に興味を持った方には、原作でしか味わえない“伏線回収の快感”をぜひ体験してほしいです!

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