家事は仕事？それとも愛情表現？専業主婦が「絶滅危惧種」と言われる時代に、家事を選んだ主人公・詩穂の葛藤と成長を描く『対岸の家事』。2025年4月期に多部未華子主演『対岸の家事～これが、私の生きる道！～』でドラマ化される原作小説のネタバレを含むあらすじと、読書レビュー（感想）、タイトルの意味と本書が伝えたいメッセージを結末から考察し紹介します。
朱野帰子（あけの かえるこ）さんのリアルな視点と緻密な心理描写が光る本作は、専業主婦、ワーママ、育休パパ、独身キャリア女性と、多様な家庭の形を描きながら、読者に「家事とは？」「働くとは？」という問いを投げかけます。
『わたし、定時で帰ります。』も朱野帰子さん原作小説でドラマ化された作品。現代のリアルを取り入れた本作はどんな作品なのかな？
家事は仕事なのか、それとも家族への愛情表現なのか…考えさせられるね。この小説は、どの立場の人でも共感できる部分があると思ったよ。
ポチップ
【ネタバレ感想】小説『対岸の家事』あらすじ：物語の構成と見どころ
𝟜月𝕊𝕋𝔸ℝ𝕋火曜ドラマ🍓
— 「対岸の家事〜これが、私の生きる道！〜」4月期火ドラ【公式】 (@taigan_tbs) January 27, 2025
『 #対岸の家事 〜これが、私の生きる道！〜』
情報解禁で公開されたアザーカット⓶📷 ˊ˗
ドラマのキーアイテムでもある
紫陽花の前で素敵なほほ笑みをいただきました☺️
4月新生活がスタートする時期に
ぴったりの応援ドラマになっています！#多部未華子 #tbs pic.twitter.com/ugxXgSw1zk
専業主婦の村上詩穂は、夫の虎朗と2歳の娘・苺と3人暮らし。母を早くに亡くし、父のために家事をしてきた彼女は「二つのことを同時にできない」性格から専業主婦を選んだ。
しかし、周囲は共働き世帯が主流。ママ友も作れず、育児の孤独を抱える中、ワーキングマザーの礼子、育休中のエリート公務員・中谷、地域のベテラン主婦・坂上さんらと出会い、次第に自分の価値を見出していく。
この小説は連作短編集のような構成で、各章ごとに違う登場人物を中心に描かれています。
【第一話】専業主婦が絶滅危惧種になった日：すれ違いが生む孤独
礼子は最初、専業主婦を見下してたけど、助けられて気持ちが変わっていくんだよね。お互いの立場を知らないと、偏見が生まれる典型かも…。
この章では、専業主婦とワーキングマザーの間にある溝がリアルに描かれています。
児童センターで『今どき専業主婦なんて珍しい』って言われるの、詩穂にとってはめちゃくちゃキツいよね…。
うん…。専業主婦が“普通”だった時代もあったのに、時代が変わると“珍しい”存在になるっていうのが悲しいよね。
詩穂は、自分の選んだ道を否定されたような気持ちになり、ますます孤独感を募らせます。それに対し、礼子は「育児と仕事の両立」という大変な生活を送りながらも、専業主婦に対して少なからず偏見を持っていました。
しかし、そんな礼子が子どもに玄関で締め出され、詩穂に助けられたことで、少しずつ互いを知るきっかけが生まれるのが印象的です。
お互いの大変さを理解するって、すごく大事。専業主婦だから楽、ワーママだからすごい、っていう単純な話じゃないんだなぁ。
礼子と詩穂の関係は、この後の話でさらに変化していきますが、第一話では“すれ違い”の部分が強調されているのがポイント。彼女たちの交流がどのように変わっていくのか、一冊を通しての変化が見どころです。
ポチップ
【第二話】苦手なパパ友：エリート公務員の過去とは？
中谷さん、最初はめっちゃドライで嫌な人に見えたけど、背景を知ると納得しちゃう。親からのプレッシャーが彼の価値観を作ってたんだね。
詩穂は、中谷の「育児＝子どもの自立を助けるもの」という考え方に共感しつつも、どこか寂しさ反感を感じます。彼の娘が転んでも手を差し伸べず、「自分で立ち上がれ」と突き放す姿に、彼の育った環境の厳しさを垣間見るのでした。
育児って、ただ厳しくするだけじゃなくて、子どもが頼れる環境を作るのも大事だよね。中谷さん、自分がされてきたことを無意識に娘にやってるよ～。
次第に詩穂と中谷の距離が縮まり、「パパ友」としての関係性が深まっていくのも、本書の見どころの一つです。
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— 「対岸の家事〜これが、私の生きる道！〜」4月期火ドラ【公式】 (@taigan_tbs) February 5, 2025
『 #対岸の家事 〜これが、私の生きる道〜』
⋱ 新キャスト発表📣 ⋰
✦働く2児のママ
長野礼子役 #江口のりこ
✦育休中のエリート官僚パパ
中谷達也役 #ディーンフジオカ
専業主婦の詩穂(#多部未華子)と
価値観の違う二人が
ぶつかりながらも交わっていく…！… pic.twitter.com/zGelz3bdNu
【第三話】時流に乗ってどこまでも：本当の“助け合い”とは
詩穂は快く子どもを預かるが、礼子は「申し訳ない」「迷惑をかけてしまった」と罪悪感を抱きます。しかし、詩穂に「誰かを頼るのは悪いことじゃない」と言われ、初めて「助けを求める勇気」を持つようになるも、それが常習化しそうになり…？
礼子、最初は『全部自分でやらなきゃ！』って思ってたけど、限界が来てしまったんだよね。こういう時、頼れる人がいると心強いけど…。
礼子の考え方が変わる大事な場面だよね！助けを求めること＝迷惑じゃないって気づいたのかも◎
でも、中谷の指摘もわかるなぁ。助け合いって大事だけど、一方的になっちゃダメだし…。子どもを預けられる環境がないのが、辛いところだね。
この章では、礼子が「助けを求めることは悪くない」と気づき、少しずつ周囲と頼り合えるようになっていく成長が描かれています。
また、「助け合いの本質は、お金じゃなくて信頼とつながりなんだ」と感じさせられる話でしたが、“子供が病気になったときに会社を休みにくく、また預け先もない”という、日本が抱える問題が取り上げられています。
ポチップ
【第四話】囚われのお姫様：お節介が自由を奪う
「子どもはまだなの？」「お医者さんの奥さんなら、きっと立派な母親になれるわよ！」。そんな言葉が毎日のように浴びせられ、彼女は笑顔で受け流しながらも、心の中では「もう限界」と感じています。
周りからの『プレッシャーの嵐』って地味にキツいんだよね。しかも、誰も悪気なく言ってるから余計につらいんだよなぁ…。
ある日、詩穂は晶子が深いため息をつく姿を目撃。「大丈夫？」と声をかけると、彼女は微笑んで「大丈夫ですよ」と答えるが、どこか無理をしているようです。
そんな晶子を心配した詩穂は、「たまには息抜きしよう！」と、彼女を強引に外へ連れ出すことに。外の空気を吸い、少しずつ表情が和らいでいく晶子。そんな時、遠くから“スーツ姿のワーママ”が赤ちゃんを抱えながら駆け寄ってきて…。
自分の人生をどう生きるか、考えられるようになったのは成長！周りの声に振り回されないって、簡単そうで難しいことだよね。
【第五話】明るい家族計画：夫婦間で生じる考えの違い
育休を取得し、家事も育児もスマートにこなしている中谷。彼は、自分が選んだ「父親としての道」に誇りを持っていました。
しかし、第二子を持つことについて妻の樹里に相談すると、彼女の反応は冷たいものでした。仕事と家庭のバランスを考えた上で、妻（樹里）から「今はタイミングじゃない。」と言われるも、納得がいきません。
「自分はこれだけやっているのに…。」との気持ちが募り、夫婦の間にすれ違いが生まれてしまいます。
中谷がここまで「育児」にこだわるのには理由がありました。それは、彼自身が幼少期に厳しい家庭環境で育ったことが影響していたのです。彼の母は、家の中で「教育ママ」として完璧を求める人でした。小さな失敗でも許されず、虐待に近い教育を受けた記憶が残っていました。
「母のようにはなりたくない。でも、自分は本当に正しい子育てをできているのか？」そんな迷いが生まれる中で、彼は、公園で詩穂と会話を交わすことになります。
子どもを持つかどうかは夫婦の問題だから、一方的に決めるのは難しいし…。”いい親になりたい”って気持ちは分かるけど、余裕がなさそうで心配だなぁ…。
「俺は、自分ができることばかり考えていた。」夫婦で子どもの未来を考えることが大切なのだと、本書の最期に中谷はようやく気づくことができるのです。
中谷さんは”家族のために”って言ってるけど、実は”自分の満足のため”になってたことに気づき始め…？
この章では、「理想の子育て」と「現実の家庭事情」のギャップに悩む親の姿が描かれていました。育児は、一人の努力だけで成り立つものではなく、パートナーとの話し合いや支え合いが大切なのだと感じられるエピソードでした。
ポチップ
【第六話】家のことは私に任せて：脅迫文を送りつける犯人は誰？
この脅迫文に最初に気づいたのは礼子で、詩穂が見る前に破棄していたけど…中谷さんにそれをお願いしたところ、詩穂さんに見つかってしまったよ。
さらに、そんな時に限って夫・虎朗との関係もぎくしゃくしてしまいます。手紙の存在を打ち明けるべきか悩みながらも、「きっと仕事で疲れているから、こんなことで悩ませたくない」と、自分の中に抱え込んでしまうのです。
自分から言い出す前に虎朗に問題の手紙を見つけられ、意を決し打ち明けるも「中谷との不倫をほのめかす手紙」まであったことで、虎朗から疑いの目を向けられてしまいます。
「主婦だから、一人で頑張らなきゃいけない」そんな思い込みを捨てて、周りを頼ることの大切さを改めて考えさせられるエピソードでした。
中谷さんが抱える過去のトラウマから、夫婦間の話し合いも同時進行で進みます。礼子さん家族も加わって、冒頭の孤独とは無縁な様子にウルッときます。
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『 #対岸の家事 〜これが、私の生きる道〜』
⋱ 新キャスト発表📣 ⋰
✦子煩悩な優しい詩穂の夫
村上虎朗役 #一ノ瀬ワタル
✦村上家の一人娘
村上苺役 #永井花奈
可愛すぎる苺にメロメロな虎朗🐯🤍
仲の良い3人の温かくて楽しい家族シーンに… pic.twitter.com/52F2y9vkKg
【第七話】大きな風：犯人は身近な人物
彼女は、詩穂のことを「のんびり専業主婦をしていて幸せそう」「私が欲しかったものを全部持っている」と、強い妬みを抱えていたのです。
彼女は一人で子どもを育てることを決意したシングルマザー。しかし、想像以上に厳しい現実に押しつぶされ、「どうして自分ばかりこんなに苦しい思いをしなければいけないのか」と周囲を恨むようになってしまったのです。
最初は敵対していた相手を救おうとする詩穂、成長したよね…！対岸だと思っていた人が、実はすぐ隣にいる…ってことかぁ…。
専業主婦だからって孤独を抱えていた詩穂が、今度は誰かを救う側になったんだね。詩穂の成長がハッキリと分かり感動だよ…！
また、物語のプロローグとエピローグでは、詩穂と父親の関係性も描かれます。かつては「母の役割を引き継がなければ」と一人で無理をし、結果的に父との関係を断ち切るように家を出た詩穂でしたが、ラスト（エピローグ）の彼女は違います。
本書を通して、「対岸にいると思っていた人が、実はすぐ隣にいる」というテーマが描かれていました。礼子も、中谷も、そして白山も、それぞれに異なる立場で生きているけれど、みんな孤独を抱え、助けを求めていたのです。
「助けを求めることは恥ずかしいことじゃない」そのメッセージが、この物語の最後にしっかりと伝わってきました。最後は詩穂自身も、父親との関係がまた築けるような温かな余韻を残しながら幕を閉じます。
ポチップ
【考察】『対岸の家事』の意味とテーマは？
『対岸の家事』というタイトルには、物語のテーマが凝縮された深い意味が込められています。このタイトルが持つ象徴的な意味を、いくつかの視点から考察してみましょう。
「対岸の火事」からの言葉遊び
まず、このタイトルはことわざ「対岸の火事」をもじったものです。「対岸の火事」とは、「自分には関係ない他人のトラブルや苦労」という意味を持つ言葉です。
しかし、本作では「火事」ではなく「家事」となっています。この言葉の変化によって、以下のような意味が生まれます。
- 家事＝他人事ではないもの：家事・育児は一見「他人の問題」として捉えられがちですが、実際には社会全体が関わるべき問題です。
ワーキングマザーも、専業主婦も、育児休暇中の父親も、それぞれ異なる立場にいながらも「家事」という共通の課題に直面しています。 - 家事の負担を可視化する：「対岸の火事」として見過ごされてきた家事・育児の大変さを浮き彫りにし、「これは自分の問題でもある」と気づかせる意図が込められています。
それぞれの立場から見た「対岸」
物語では、専業主婦の詩穂、ワーキングマザーの礼子、育休取得の中谷、公務員妻の晶子など、異なる立場のキャラクターが登場します。彼らは最初、互いの生活を理解できず、「自分とは違う世界＝対岸」と思っています。
しかし、物語が進むにつれ、それぞれが直面する問題は実は「対岸」ではなく「此岸（しがん＝自分のいる場所）」であることに気づきます。
- ワーキングマザーから見た専業主婦は「対岸」 → 「専業主婦は楽そう」と思っていたが、実は孤独と育児のプレッシャーに苦しんでいた。
- 専業主婦から見たワーキングマザーは「対岸」 → 「仕事もできて充実している」と思っていたが、育児と仕事の両立で限界を感じていた。
- 男性（中谷）から見た女性の家事・育児は「対岸」 → 「合理的にこなせばいい」と思っていたが、自分もトラウマを抱え、苦しんでいた。
このように、「対岸」だと思っていた問題は、実は自分のすぐそばにあることが分かってくるのです。
「家事」を通じた人との繋がり
本作では、「家事」をきっかけに人と人が繋がっていきます。詩穂が礼子を助け、礼子が詩穂に助けを求めることで、お互いの理解が深まります。また、中谷も詩穂や礼子と交流する中で、育児や家事に対する考え方を変えていきます。
子どもを持っている登場人物ばかりでなく、近所の婦人やその娘さん（独身でキャリア志向の女性）、礼子の同僚の独身男性など、実際に身近にいそうな人物が多数描かれており、“自分事”として読むことができます。
家事は単なる「日常の作業」ではなく、人間関係を築く媒介にもなりうるのです。最初は「対岸」にいたはずの人たちが、「家事」を通じて少しずつ距離を縮め、互いに助け合う関係になっていく――そんな意味合いもタイトルには込められているのではないでしょうか。
「対岸」にいる人を助ける勇気
最終章で詩穂は、妬みから嫌がらせをしてきた白山はるかに手を差し伸べます。白山は、まさに「対岸」にいた人間。しかし、詩穂は「助けが必要な人がいたら、手を伸ばしてもいい」と気づきます。
これは、「家事・育児の問題は一人で抱え込むものではなく、助け合いが大切」という本作のメッセージにも繋がります。「対岸の家事」として見て見ぬふりをせず、気づいた人が支え合う――それが、この作品の描く理想の社会なのかもしれません。
『対岸の家事』というタイトルには、以下のような深い意味が込められていると考えられます。
- 「対岸の火事」からの言葉遊び → 「家事は他人事ではない」と伝える意図
- それぞれの立場から見た「対岸」 → 互いに誤解し合っていたが、実は同じ悩みを抱えている
- 「家事」を通じた人との繋がり → 「家事」は人と人を結びつける大切な要素
- 「対岸」にいる人を助ける勇気 → 誰かの家事や育児に手を差し伸べることの大切さ
本作は、家事や育児を「対岸の火事」として見てしまう現代社会への問いかけでもあり、「他人事ではなく、自分たちの問題としてどう向き合うか」を考えさせる作品になっています。
そして、この小説が伝えたいメッセージとは…
- 家事は仕事か、愛か？
家事労働は賃金が発生しないため、社会的に評価されにくい。しかし、それがなければ家庭は成り立たない。 - 家族の在り方はひとつではない
専業主婦、ワーキングマザー、育休パパ…すべての生き方に意味がある。誰もが正しく、誰もが苦しんでいる。 - 人に頼る勇気
詩穂や礼子、中谷はみな、最初は孤独に耐えていた。しかし、互いに助け合うことで救われていく。
決まった家族の在り方はない。余裕がないと、自分が一番大変だと思いがちだけど、人の数だけ悩みがある。多様性を受け入れられる人や社会でありたいね。
ポチップ
【結末考察】“対岸”ではなく“此岸”にあるもの：『対岸の家事』を読んで考える、私たちの暮らし
最初は孤独だった詩穂が、最後には自分の選択に自信を持てるようになったのが印象的だったね◎
誰もが何かしら悩みながら生きているってことを改めて考えさせられる物語だった…！
この小説を読んで、あなたは何を感じましたか？「対岸」だと思っていた問題が、実は自分自身のことだった―――そんな気づきを与えてくれる一冊です。
家事、育児、仕事…すべてが「仕事」であり、すべてが「愛情表現」になりうる。あなたの暮らしの中にも、小さな「家事の意味」が隠れているかもしれませんね。
本書を読んでいない人は、ぜひ手に取ってみてください。自分の生活を見直したり、人に感謝を伝えたくなるはずです。これからの時代、“もっと助け合って生きていける社会になるといいな”と思わせてくれる、良書でした。
ポチップ
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